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ぐうの日常

香港映画俳優トニー・レオン梁朝偉を地味に応援する管理人ぐうの、日常のつぶやきです。  画像の無断転載は禁止です。

トニー・レオンの新たな挑戦 

 

ううう、今日は雪が降って寒いです。夜には雨に変わりました・・。

今日の情報。

・「赤壁」特報。YouTubeより。(Mei633さん、ありがとうございます♪)
http://uk.youtube.com/watch?v=vFi4Uz5oojg

・沖田敦氏映画業界人ブログより
『ラスト、コーション』初日、満席相次ぐ!
http://blog.cinemacafe.net/showbiz/archives/okita/007575.php
雪の東京…でも『ラスト、コーション』の勢い止まらず!
http://blog.cinemacafe.net/showbiz/archives/okita/

・BS日テレのC-POPチャイナ 2月7日(木)午後8時「ラスト、コーション」の最初の記者会見の模様を放送予定。(anjyuさん、ありがとうございます♪)

・ナンクルナルタイさんのブログによると今月中に日本版「レッドクリフ」特報もお披露目できるのではないか、とのことです。


以下、「ラスト、コーション」感想。
(ネタばれしてますので映画未見の方はお読みにならないでください)
「ラスト、コーション」を初めて観た時、そのエンターティメント性の高さに驚いた。

男性はスリリングなスパイ映画として、女性は男女の禁断のラブストーリィとして、最後まで観客は飽きることはなく、その世界から逃れることはできないと思う。タン・ウェイの美しさとトニー・レオンの渋さの魅力は言うまでもない。

そして何よりこの映画はワン・チアチーの映画だ。

最初は、学生ならではの先鋭的で無謀で杜撰な夏休みの冒険として始まった暗殺計画だったのかもしれない。ワン・チアチーにとっては愛国心というよりもクァンの関心を引きたいという一心によってマイ夫人を演じることになったのかもしれないし、母親の死後あっさりと異国で再婚してしまった父親に見捨てられた自分を忘れられることに生きがいを感じていたのかもしれない。

イーとの初めての出会いは、サングラスをかけ白いシャツでイー夫人につきそい車まで見送りに来た彼の顔の下半分が車の窓ガラスから見えるというもので、まさしくチアチーの視点からの彼の横顔だった。
その時、彼女は一種鳥肌が立ったかもしれない。悪党と聞いていたイーはどちらかというと痩せていて線が細くて神経質そうな中年男性に見えたと思うから。

一つの殺人事件を通して後戻りできなくなってしまった過去を背負ってしまった後、上海で3年後クァンに再会した時、それは学生の自主的な冒険ではなく「組織されたプロのスパイ」へと役割を変えていた。


彼女がイーにアパートでレイプされてベッドに放心状態で横たわり、イーが「君のコートだ」とコートを掛けて出て行った(「コートで破れた服を隠して帰れ」ということなのだろうか)時、チアチーがそっと「してやったり」という風に微笑んだのにはぞくっとした。男が力で女をねじ伏せたように見えるが実は女の方が勝者だったのだ。それはその後のベッドシーンでも、ある時はイーがチアチーを責め、ある時はチアチーがイーを責めるというところに現れている。

映画の冒頭と最後を除き、イーの行動はチアチーの眼を通して語られるため、イーが不在の時彼が何をしているのか、チアチー同様観客も知る術がない。
その点でも観客はチアチーと同化していくのだ。

宝石店でチアチーがつぶやいた言葉によってイーが飛び出して行き、途方に暮れた彼女が通りで車をつかまえられず、右往左往する様子が痛々しい。

やっとつかまえた人力車の陽気な車引きが「お家に帰るの?」と聞いてくる。

そう、お家に帰りたい・・。どこのお家に?おばの家?自分の居場所はないだろう再婚した父のイギリスの家?幼い頃父と過ごした、もう他人の手に渡っている家?

道路が封鎖され通れなくなった主婦らしきおばさんが叫んでいる。「夕食を作らないといけないから通して!」
「夕食なら駄目だ、病院に行くのならいいけれど」と警官に言われ、周りの人々がどっと笑う。

自分にも夕食を作り夫の帰りを待つという普通の人生の選択があったのだろうか・・と彼女は薄く微笑する。

そうだ、こういう時の為に薬を渡されていたのだ。襟元から自害用の薬を取り出す。敵の手に落ちないよう・・拷問はさぞかし辛いだろう。


イーは事務所で、抗日運動員が数人逮捕されたという報告を聞く。その中にマイ夫人つまり、ワン・チアチーの名前もあった。
机の上に置かれた主をなくした指輪。
「これを彼に返してください」と差し出す逮捕されたワン・チアチーの姿をイーは想像したのだろうか。指輪を返す為に彼女は薬を飲まなかったのだろうか。
彼はそこに彼女の愛を感じ取っただろうか。

確かめる術はなく午後10時の鐘が鳴る。


イギリスの父に宛てたチアチーの手紙が無残にも燃やされたように、例え暗殺が成功したとしてもチアチーはイギリスに行くことはできず、いずれ上層部に口封じの為殺されていただろう。
ウーにとって彼女は「捨てゴマ」にすぎなかった。

「周囲から恐れを持って見られていた」イーもまた、チアチーがスパイと事前に判明していたのに知らされていなかったことから見て、抗日運動員の首謀者の居場所を探り当てる為の囮として、場合によっては暗殺されても構わない「捨てゴマ」として扱われていたのだ。
めまぐるしく動かされる卓上の麻雀牌のように。

世界に見捨てられていたのはチアチーだけではなく、「誰も信じてこなかった」イーもまた同じだった。
ベッドシーンで一つになる二人の体は、神様に祈りを捧げる人の組み合わされた両手のようにも見え、それはエロスというよりも悲しさで満ち溢れている。


私にとって何より衝撃的だったのは、件のベッドシーンではなく、トニー・レオンが初めて中年男性、「老い」を演じていることだった。
今まで青年役を演じてきたトニーが初めて正面から老いを演じている!
煙草をくゆらせながら椅子に座る様子は、ホウ・シャオシェン監督の映画の新しい登場人物にさえ見える。

彼の新しい挑戦とは、激しいベッドシーンではなく、若い恋人を失いたくないと思う、老いを迎えた一人の中年男性だったのではなかったのか。

それはやがて来る老いを迎える彼が、まだまだ新しい領域での活躍を期待できるという発見でもある。

category: 映画

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