結婚の約束をしながらも、時代に翻弄されすれ違いの人生を歩む二人。
お互いの安否もわからず、連絡を取ることも一緒になることもできず苦しむ姿が痛々しい。
唯一の救いはビビアンにもチェン・クンにも「陰ながら見守ってくれる人」がいたところかな。
最近の中国映画(合作も含め)にチベットがよく登場するのは、鉄道ができて行き来が楽になったからかな、と想像してしまいました。
チェン・クンがチベットでの結婚式で花嫁さんと共に肩にかけていたショールは「カター」と言う儀式の際に相手に心からの敬意を込めて贈る布です。白は純粋な気持ちを表すそうです。
映画のオープニングで、景色を切り替えなしでずっと俯瞰でなぞっていくシーンは圧巻でした。
「出エジプト記」
この間も書きましたがエドワード・ホッパーの絵画のような、静かな水色とクリーム色を基調とした画面が印象的でした。
映画のテーマは、一見突拍子のないような感じなのですが、根っこにあるのは「疎外感」「孤独」「コミュニケーションの欠如」なのだと思います。
男性が女性を、女性が男性のことを理解できないと言うのは太古の昔からある現実だと思います。そもそも生物学的にも男性と女性は「全く違う生き物」だそうで、その二つが結婚して一緒に住んでいると言うのは奇跡なのだそうです。
「いやいや、うちは夫婦仲いいですよ」と思われる方も多いでしょう。私もそう思っているのですが、じゃ相手の事を本当に理解しているかと言うと疑問が残ります。そもそも思考回路が全く違うのですから自分の脳で「相手を理解している」と思ってるのは幻想と言うかそう思い込んでいるだけかもしれません。
ま、その方がお互い幸せだからいいのですが。
そんな訳で、ふと「相手(女性)は自分(男性)を実は殺そうと思ってるのではないか?」と言う妄想を抱いた人がいてもおかしくないと思うのです。
そういう人の眼から見た世界はこんなにも寂しいのかと思うくらい画面には人がほとんど出てきません。食事のシーンも一人きりで自分の部屋か、全く他にお客さんがいないようなレストランで、と言うシーンです。ここは本当に香港なのでしょうか。(笑)
ニック・チョンがあの「エレクション」でレンゲをバリバリ食っていた人と同じ人物だとは思えないくらい病的な役で出てきます。