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ぐうの日常

香港映画俳優トニー・レオン梁朝偉を地味に応援する管理人ぐうの、日常のつぶやきです。  画像の無断転載は禁止です。

東京フィルメックス「スリータイムズ」 

 

昨日東京フィルメックスのオープニング上映「スリータイムズ」を観てきました。
上映後、ホウ・シャオシェン侯孝賢監督の質疑応答もあり、充実した時間を過ごせました。先日の東京国際映画祭のスタンリー・クワン監督といい、本来なら絶対間近でお姿を見られるような事はないのでしょうが、何故かお姿を拝見すると身近な方に感じてしまうのが不思議です。
特にこのホウ・シャオシェン侯孝賢監督のちょっと肩の力が抜けたような不思議な間合いは・・。
「スリータイムズ最好的時光」のポスター
「スリータイムズ」ポスター


以下、映画の簡単な紹介と監督の質疑応答をご報告します。たぶん、ネタばれはしてないと思います。
オープニングでのホウ・シャオシェン監督(右から二番目マイクの前)
マイク前のホウ・シャオシェン監督

上映後質問に答えるホウ・シャオシェン監督(真中)
ホウ・シャオシェン監督質疑応答


映画はオムニバス形式で三つの話から成り、全ての話をチャン・チェンとスー・チーが演じています。

恋愛の夢・・1966年が舞台。兵役前の青年チャン・チェンがビリヤード場を訪れた時ビリヤード場のスコア係のスー・チーに出会う。チャン・チェンは去り際、「手紙を書くから。ここ宛に」と言う。その後休暇があり、ビリヤード場を訪れたチャン・チェンは彼女がもうそこを辞めていたことを知る。若々しい緑色を基調とした爽やかなお話。ビリヤードをする男性、女性は何故あんなに美しいのか。前かがみになり一点を見つめる姿から男らしさ、女らしさを感じずにはいられない。

自由の夢・・1911年が舞台。スー・チーは娼館の芸妓。チャン・チャンは偉い先生に仕えて学問を研究している人物。(こういう方の職業をなんというのでしょう。既婚者なので書生というのも変だし)
スーチーの美しい紫、臙脂色の衣装。チャン・チェンの弁髪がなんともいえない色気を感じさせる。チャン・チェンが顔を洗い、スー・チーが後ろからそっと彼の身支度の手伝いをするところ。二人の所作の一つ一つが美しい。知的な美しさだ。

若者の夢・・2005年が舞台。スー・チーはクラブ歌手。チャン・チェンは写真家。二人はそれぞれ恋人がいるがクラブで出会い、関係を持つ。病的な青色を基調として二人の孤独と絶望が浮かび上がる。
このスー・チーはとてもスー・チーには見えなかった。

<質問>
監督の映画は全て観ています。だんだん純粋な映画に向かっている気がする。今までに観たことのないような(監督の作品としては)映画だった。ある時期から映画に対しての考えが変わってきたのでしょうか。

<監督>
(日本語で)そうねぇ・・。(会場笑)
創作というものは道のようなもので終わりがない。途中で立ち止まり自分について見つめなおし、内面について思索していく。
ずっと歩いていっても終わりがない。それが創作。何故自分が創作をしているのか。
小説も映画も若いころに観る、年老いてから観るというのは感覚が違うと思う。撮り終わっても、ある事が繰り返すという事がある。歴史と同じように繰り返し続ける。

<司会>
監督の作品は懐かしいが新しい、新しいが懐かしいという感じがします。

<質問>
監督のファンで、今日映画が観られて良かった。三組、どのお話のチャン・チェン、スー・チーも似たキャラクターに見えた。これは生まれ変わりというような意味があるのでしょうか。
(*私はこの感想と反対でチャン・チェンとスーチーはうまく演じ分けをしていたと思います。全部静かな人物であったのは確かですが。特にスー・チーは同一人物には見えませんでした)

<監督>
この三つの物語、最初は1966年あたりを私が撮って、あと二つは若手の監督二人がそれぞれ(1911年、2005年)を撮るという話だった。だが釜山プロモーションに企画を持っていったが誰も出資してくれなかった。
その後GIO(台湾の新聞局)が「30万ドル出すが、興行が成功しなかったら自分で10%払ってください」と言ってきた。失敗したら自分が3万ドル払わなければならない。
それでその企画は止めて全作品を自分が撮る事になり、練り直しをした。
2005年の話は当初1980年代だった。三つの時代にいた男と女が時代の波を受けてどのように恋愛をしていくかというテーマ。

三組とも似ているという点については(日本語で)・・すみません・・。(会場爆笑)
三つのストーリィというもの、これが三ヶ月撮っていく中でチャン・チェンもスー・チーも慣れてきて、それが三人のラブストーリィのように絡み合っていった。
最初2005→1911→1966という順で撮っていった。スー・チーも最初慣れませんでしたがだんだん劇の中の人物に慣れていった。

<質問>
監督の全てのスタイルを観れた。監督の意図だったのか。こういう並び(1966、1911、2005)にしたのも意図があったのか。

<監督>
私のスタイルと仰いましたが内容からスタイルが決まってくる。最初の2005年のお話、スー・チーもチャン・チェンも慣れてなくて時間とお金がかかった。
二つ目1911年のお話、11日で撮った。二人とも上海語を練習する時間がなかったのでサイレントにした。(会場笑)
三つ目1966年のお話、6日で撮った。スー・チーはもう次の仕事が入っていたから。スタイルというのは現実的な状況から生じていった。
2005年から撮り始めたのですが、二人ともだんだんと慣れてきた。1966年は二人ともとても息が合っていたのでリラックスして撮れていった。1966年は自分の青春時代。自分もリラックスして撮れた。リラックスした甘い雰囲気、これを最初に持っていった。
二つ目にサイレントだからこの辺に入れるのがいいのではないか、と思った。
三つ目は少し重いので最後に持ってきた。
観客の忍耐度に合わせてこのような形にした。(会場笑)

<質問>
質問は二つあります。一つは今回のタイトル、最後に「夢」がついている意図は?二つ目、カメオでクー・ユールンが出ていたが、特別出演にしたのは何かエピソードがあったのでしょうか。

<監督>
クー・ユールンはチャン・チャンの友達でしょっちゅうビリヤードを一緒にしている。彼に敬意を表して特別出演とした。
タイトルの「最良の時」(最好的時光)というのは必ずしも最良の時という意味ではない。もう戻らないから記憶の中で思い出して生き返る。美しかった時を思い出してみようという意味で「最良の時」とした。
「夢」についてですが全体のテーマが母、小テーマは子。最良の時にある一つ一つの夢。
一つ目。自分が若い頃経験した恋愛。ビリヤード場のスコア係に恋をした。
二つ目。日本統治から離れるという自由の夢。芸妓から離れて、自分の好きな人のところに嫁ぎたいという自由の夢。
三つ目。現代の若者の虚無的、退廃的な若者の夢。


以上です。映画評論家かと思うような専門的な質問ばかりで会場のお客さんのレベルの高さに驚きました。
ときには厳しく感じられる質問にもヒョイヒョイと軽くかわすような感じで受け答えられていた監督も素晴らしかった。
(それにしてもサイレントにした理由にびっくりしたが、考えたら昔「悲情城市」でトニーが普通語を喋れないので「聾唖者」という設定にした監督のこと、こんな事なんでもないのかもしれない)

この映画のチケット発売日、朝7時に電話をもらい(当然まだ寝ていた)「『スリ-タイムズ』のチケット買うけど、一緒に取ろうか?」と面倒見のいい友人からのお尋ね。スー・チーとチャン・チェンだったら観てみようか、という軽い気持ちでチケットをお願いした。監督の作品は「悲情城市」しかまだ観てない。こんなアホな観客は会場で私一人だったかもしれない。
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コメント

 

ありがとう!

ぐうさん、どうもありがとうございます。この映画、気になっております。二人はきちんと演じ分けているのですね?

監督のお話を聞くと、映画の舞台裏が垣間見られて、本当に興味深いです。サイレントという趣向にも興味津々。実はスーチーが今ひとつ好きでないのですが、これはぜひ見てみたい作品です。v-206

藍*ai #a2fnBRhM | URL | 2005/11/21 19:25 | edit

藍*aiさんへ

スー・チー、私の中では「ゴージャス」のイメージで、アヒルくちの女の子だったのですが(笑)、今回は見直しました。
公開は今のところ来年の12月の予定です。一年も待つんかいな・・でも公開が決まってるだけでもヨシとしましょう。

ぐう #- | URL | 2005/11/21 22:50 | edit

ぐうさん、こんにちは。
おいでになられていたのですね。
ご挨拶せず、申し訳ありません。

最初の60年代のエピソードに、監督ご自身の
淡い思い出が寄せられている、といったことを
ご自身の口からうかがったとき、なんだか
キュンといたしましたデス。はい。

スー・チー
エエです。

nu. #SIR.BgG2 | URL | 2005/11/22 11:05 | edit

>nu.さん
>ご挨拶せず、申し訳ありません。

とんでもナイです。こちらこそ気づかずすみませんでした。

私の中でもスー・チー株・急上昇です。

ぐう #- | URL | 2005/11/22 22:37 | edit

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