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ぐうの日常

香港映画俳優トニー・レオン梁朝偉を地味に応援する管理人ぐうの、日常のつぶやきです。  画像の無断転載は禁止です。

「奪命金」「我が道を語る」観ました 

 

今年のフィルメックスで観たのは「ミスター・ツリー」以外では「奪命金」と「我が道を語る」のみ、東京国際映画祭では鑑賞作品を詰め込みすぎたので、ちょっとセーブしました。
今頃ですが、感想をちょこっと。

「奪命金」
「奪命金」
ジョニー・トー監督

英題は「Life Without Principle」。「principle」とは「原理、原則、主義、道理、道義」というような意味。
「道理や道義のない人生」と考えると、監督の示さんとする映画のテーマが見えてくるような気がする。

映画の主人公は男性刑事、女性銀行員、ヤクザの下っ端の三人。観る前は「奪命金」のタイトルからして、この三人が偶然知り合い、成り行きで一緒に銀行強盗でもするか、銀行強盗のお金を持って逃げることになるようなお話かと思っていた。

実際は、この三人は見ず知らずの関係で、直接交わることはないのだが、彼らの見えないところで繋がってお話が進んでいく。

刑事は、奥さん(恋人?)にマンション購入をせっつかれるものの、一歩踏みきれず「決断力がない」と叱られている。仕事はできるが、投資などには興味のない人間。
女性銀行員は、リスクの高い金融商品の販売ノルマを課せられるものの、押しの弱さから成績は最下位で、上司からはリストラ対象となっている。
ヤクザの下っ端は、根っから真面目な人物で、ボスの誕生祝のご祝儀を集金しても誤魔化さず全部渡すし、ヤクザの兄貴の保釈金集めも一所懸命やる。ヤクザも、最近は羽振りが悪いのか、それとも勢力の小さな組織なのか、保釈金の調達は難しい。自身もほとんど余分なお金は持っていない。

三人ともマネーゲームとは無縁な人間だったが、ふとしたことから「道義なき、法則なき世界」に足を踏み入れることになる。
ささやかな生活を送っている人間が、こういうご褒美ーといっても、道義的には問題のある(少なくともリッチー・レン刑事以外は)-を手に入れてもいいじゃないかというジョニー・トー監督流一種のファンタジー映画かもしれない。(大陸で上映するには結末に問題ありかな)

珍しくドンパチのない映画、でもお話にはジョニー・トー監督らしいヒネリが込められている。痛そうなシーンはやはりあるし、何より映画のお話が途中まで進んでから、他の人物のシーンになった時に、少し前の時間に戻って、途中で時間が合流するという演出。映画の中で流れるテレビニュースや電話の会話で、「ああ、ここで繋がったのか」とわかる仕組みになっている。

リッチー・レン刑事が「事件の関係者に会ってくる」と言い出かけたから、当然その関係者に会うシーンかと思えば、マンション販売の現場で奥さん(恋人?)と会うシーンとなるし、同じくリッチー・レン刑事が入院した刃傷沙汰を起こした犯人の話をしていて、病院に行ったから、てっきり犯人に会いにいったかと思ったら入院した自分の父親のお見舞いだったりする。あれ?と思うが、ここら辺も、監督が、観客をわざと軽く混乱させるお話のつなぎ方をしているのだろうと思う。


「我が道を語る」
「我が道を語る」

ジャ・ジャンクー監督が6人の若手監督とともに手がけたオムニバス・ドキュメンタリー。
まず一本の映画で取り上げる人物が12人というのは多すぎる。ジャ・ジャンクー監督はこの映画を「今の中国の若者を励ますため」に作ったというが、インタビューが核心に触れる前にもう次の人物のインタビューに入っているというめまぐるしさ。この映画で、どうやって若者を励ませるというのか。
一番最後のある社長のインタビュー、自分が10歳の時に、里子に出された妹をおぶって家まで連れ帰った、都会に出稼ぎに行く時に父親が「面倒を起こすな、問題を恐れるな」と言った言葉が忘れられない、という話は心に響いたが、後はあまり印象に残らなかった。

社会派の映画を撮っていた監督が、ずっと社会派の映画を撮らなければならないか、と言えば、「娯楽映画でも、金ピカ豪華映画でも、どうぞ、自分の撮りたいものを撮ってください」と思う。
それに中国の監督にはそれなりの事情も苦労もあるのだろう。

しかし以前著書『ジャ・ジャンクー 「映画」「時代」「中国」を語る』の中、監督はホウ・シャオシェン監督とのトークで、チャン・イーモウ監督の批判をしていたのは何だったのか。
身奇麗で体裁の良いインタビュー形式の映画に逃げているのではないのか。

個人的には、ジャ・ジャンクー監督の今後の作品にはもう期待はしないと思う。


<今日の情報>
リニューアル後のル・シネマ・ラインナップに、今年カンヌ映画祭で上映されたウディ・アレン監督作品「ミッドナイト・イン・パリ(原題)」が入っています。
http://www.bunkamura.co.jp/topics/cinema/4394/
2012年初夏ロードショー予定とのこと。

category: 香港映画

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